どんな勉強をしているの?
という質問に答えるため、学会で発表した研究を紹介♪
(画像は見えませんが、参考までに)
スターリングエンジンの溝付再生器メッシュシート
Matrix Mesh Sheet with Groove for Stirling Engine Regenerator
In this study, a premixed combustor for Stirling engines that developed by KITAHAMA was fittig air retain heat exchanger. The air retain heat exchanger of combustor was high performance scuive-fin heat exchanger, and the premixed combustor was downsize. In this experiment,NS03T Stirling Engine’s combuster was changed diffusion method to premixed method. As the result, burner efficiency of premixed method reached nearly level of diffusion method. THC gas decreased to 2ppm,and CO gas and NOx gas decreased to 40%,10%.
Key words: Stirling Engine, Combustor, Premixed combustion
1 序 論
スターリングエンジンは、作動流体を外部から加熱、冷却することにより得られる圧力変動を用い、それと容積変動との位相差をりようして動力を得るエンジンである。高い熱効率を持つスターリングエンジンは外燃機関であり、化石燃料を用いる場合には燃焼器を保有する。その燃焼器は連続燃焼方式なので内燃機関に比べて燃焼機構が簡単で、燃焼特性および排気ガス特性が優れている。また、多種燃料を使用することが可能であり、様々な燃焼方式を選定できるという特長を有する。気体燃料を燃焼させる方式を大別すると、拡散燃焼、触媒燃焼、予混合燃焼との3種類があるが、従来は燃焼機構が簡単な拡散燃焼方式が主流であった。ところが近年、低公害、高負荷燃焼の要求から、予混合燃焼方式を用いることを提案し、本研究では従来の拡散燃焼方式と同等の性能を得ることができる予混合燃焼方式のNS03Tエンジンを用いた。このエンジンは通気性と伝熱特性に優れたマトリクス材を充填した再生器を用いて作動流体の熱を蓄積することにより、より高い熱効率を実現する。しかし、従来使われてきた積層金網は幾何学的寸法が限定されるため、形状の自由度が乏しく、エンジンの特性に合わせて形状を最適化した場合に製造コストが上昇し、また整備性が低下する問題点が指摘されている。
本研究室では、従来の積層金網に替わるマトリクス材として、幾何学形状を任意に設計可能で製造状況によっては金網と比べて安価になる積層型マトリクス材メッシュシートを開発し、実機試験を行いマトリクス材としての性能を調査している。本報告では、既報された形状をもとにした新型メッシュシートマトリクス材を用いて、実機試験を行い、その性能・特性を調べた。
2 メッシュシート概要
Sheet5は昨年度までに開発されたもの、sheet6は既報において提案した新型メッシュシートをさらに新構想により変更したものである。
Fig.1 Schematics of matrixes
3実験装置および実験方法
(1) エンジンの概要
(2) 実験方法
(3) 算出方法
4実験結果
2種類のメッシュシートを使用した際の実機性能を測定した結果、以下の結果を得た。
5考察
スターリングエンジンのヒートバランスの中で、加熱系のエネルギーフロー4) をFig. 4に示す。熱入力Qinのうち加熱器で有効に使われるのは有効熱入力Qhであり、残りは排ガス損失Qcg,inと加熱系器壁損失Qleakにより失われる。しかし、加熱部をでた燃焼ガスが保有する熱量のうち、Qpreが空気予熱器によって回収され熱入力として再生される。従って、加熱部に流入する燃焼ガスが保有する熱量はQin+Qpre になる。
このような加熱システムの性能を表す指標として、バーナ効率、空気予熱器回収率およびヒータ熱交換率の3種類
の効率が次のように定義される。
Fig.4 Energy Flow in Heating Systemバーナ効率 (1)
空気予熱器回収率 (2)
ヒータ熱交換率 (3)
バーナ効率 (4)
と表される。
空気比は理論空燃比と実際の空燃比の比率で、次式により定義される。
(5)
α
5 実験結果および考察
Fig. 5 に予混合燃焼器を用いた実機運転時における空気比、αに対するηbおよび空気予熱器回収率、ηpreの関係について示す。図中のシンボルは、4分間のエンジン運転の平均値である。この図より空気比が大きいときにはηpreが従来方式のものと同等であることが分かる。従来の拡散燃焼方式の燃焼器を用いて運転する場合、空気比α=2.9においてηb =55~75 %になるのに対し、試作した予混合燃焼方式の場合はα=4~4.5において約49.5 %と低下している。この原因は、燃料と空気の混合が十分に行われずに、空気量が多い状態で予混合燃焼が行われる。そのため、適切な状態での予混合燃焼になっていないと考えられる。
そこで次に混合をより促進させるために、Fig. 6 のように、混合管の上流側に燃料の噴射場所を変更し、0.12 mmの12本のノズルで燃料噴射し、燃料を予熱された燃焼用空気と混合した状態で向芯型スワラに流入させることで、混合が促進されるようにした。その結果より得られたαに対するηbおよびηpre、ηhの関係についてFig. 7に示す。図中のシンボルは4分間のエンジン運転の平均値であり、滑らかな曲線で結んだ。改良前と比較してαが約3~4割小さくなり、α=3においてηbが最大となった。このときηb =約59.0 %を得ることができ、拡散燃焼器のα=2.9とほぼ同じαにすることができた。空気比が大きくなるにしたがい、空気流量が大きくなるため空気予熱器熱交換率が上昇しているのが分かる。また、このときの、排ガスを分析してその成分を測定した結果が、Fig. 8~10である。各排ガスは酸素濃度換算を行わず実測値である。また、図中のシンボルは2分間の平均を表し、それらを滑らかな曲線で結んだ。未燃焼ガスTHC濃度および一酸化炭素CO濃度はα=2.5から急激に減少し、CO濃度が200 ppm以下および窒素酸化物NOx濃度が100 ppm以下になる。α=3.4以上で予混合燃焼が確実に行なわれていると判断できる。
Fig. 5 ηb and ηpre with α
Fig. 6 Inproved premixing Combustor
with NS03T engine
次に、Pe,meanに対するηb、ηpreおよびηhの関係をFigure12に示す。拡散燃焼方式と比較すると、空気比が大きいために空気流量が大きくηpreは3割程度増加しているが、ηbが拡散燃焼と比較して向上していない。これは、火炎が適切な形状となっていないため、ヒーター管の温度上昇のために有効に働いていない可能性があると考えられる。この時の排出ガスはCO濃度160 ppmおよびNOx濃度60 ppmで、それぞれ従来の拡散燃焼の場合と比較して40 %、15 %に低減することができ、空気比によりそれぞれ最大で90 %、10 %程度まで低減でき、HCについては約2 ppmCまで低減することができた。
Fig. 7 ηb,ηpre,ηh, with α
Fig.8 THC withα
Fig.9 CO with α
Fig.10 NOx with α
Fig.11 ηb,ηpre,ηh, with Pe,mean
6 結 論
84年度型NS03Tスターリングエンジン空気予熱器を備えた予混合燃焼燃焼器を開発し、次のことを確認した。
(1) 排気ガス中に含まれるTHC濃度については、2 ppmC程度にすることができ、COおよびNOxそれぞれの濃度は、従来の拡散燃焼の場合と比較して約40 %、約15 %、最大で約90 %、約10 %までそれぞれ低下させることができ、予混合燃焼器を用いたスターリングエンジンの排気ガス特性が優れることを証明した。
(2) 予熱器には高性能なスカイブ型放熱板を使用することで、小型軽量化ができた。
(3) 自作の空気予熱器付予混合燃焼器により予混合火炎による実機運転をすることに成功し、拡散燃焼方式と同等のバーナ効率を得ることができた。
現在までに得られた実験結果を考慮して、以下の項目について検討を行い燃焼器の改良を行う予定である。
(1) バーナ効率の向上のため、最適な予混合燃焼が得られるような燃焼器形状に関する研究、向流式スカイブ熱交換器による空気予熱器の開発
(2) 空気予熱器の空気の流路を補修、もしくは空気予熱器を改良して空気の漏洩をなくすことで、空気予熱器入り口付近で燃料である天然ガスを混合させ、より完全な予混合気による燃焼を実現
(3) 最適燃焼を行う保炎器の改良・試作
参考文献
1) 北濱 大 他、日本機械学会第7回スターリングシンポジウム講演論文集2003 p19-22
2) 水谷 幸夫 燃焼工学入門 森北出版株式会社2003
3) Kagawa, N.: An Experimental Study of a 3-kW Stirling Engine. Journal of Propulsion and Power, 2000
4) 山下巌 他、スターリングエンジンの理論と設計、山海堂、1999
という質問に答えるため、学会で発表した研究を紹介♪
(画像は見えませんが、参考までに)
スターリングエンジンの溝付再生器メッシュシート
Matrix Mesh Sheet with Groove for Stirling Engine Regenerator
In this study, a premixed combustor for Stirling engines that developed by KITAHAMA was fittig air retain heat exchanger. The air retain heat exchanger of combustor was high performance scuive-fin heat exchanger, and the premixed combustor was downsize. In this experiment,NS03T Stirling Engine’s combuster was changed diffusion method to premixed method. As the result, burner efficiency of premixed method reached nearly level of diffusion method. THC gas decreased to 2ppm,and CO gas and NOx gas decreased to 40%,10%.
Key words: Stirling Engine, Combustor, Premixed combustion
1 序 論
スターリングエンジンは、作動流体を外部から加熱、冷却することにより得られる圧力変動を用い、それと容積変動との位相差をりようして動力を得るエンジンである。高い熱効率を持つスターリングエンジンは外燃機関であり、化石燃料を用いる場合には燃焼器を保有する。その燃焼器は連続燃焼方式なので内燃機関に比べて燃焼機構が簡単で、燃焼特性および排気ガス特性が優れている。また、多種燃料を使用することが可能であり、様々な燃焼方式を選定できるという特長を有する。気体燃料を燃焼させる方式を大別すると、拡散燃焼、触媒燃焼、予混合燃焼との3種類があるが、従来は燃焼機構が簡単な拡散燃焼方式が主流であった。ところが近年、低公害、高負荷燃焼の要求から、予混合燃焼方式を用いることを提案し、本研究では従来の拡散燃焼方式と同等の性能を得ることができる予混合燃焼方式のNS03Tエンジンを用いた。このエンジンは通気性と伝熱特性に優れたマトリクス材を充填した再生器を用いて作動流体の熱を蓄積することにより、より高い熱効率を実現する。しかし、従来使われてきた積層金網は幾何学的寸法が限定されるため、形状の自由度が乏しく、エンジンの特性に合わせて形状を最適化した場合に製造コストが上昇し、また整備性が低下する問題点が指摘されている。
本研究室では、従来の積層金網に替わるマトリクス材として、幾何学形状を任意に設計可能で製造状況によっては金網と比べて安価になる積層型マトリクス材メッシュシートを開発し、実機試験を行いマトリクス材としての性能を調査している。本報告では、既報された形状をもとにした新型メッシュシートマトリクス材を用いて、実機試験を行い、その性能・特性を調べた。
2 メッシュシート概要
Sheet5は昨年度までに開発されたもの、sheet6は既報において提案した新型メッシュシートをさらに新構想により変更したものである。
Fig.1 Schematics of matrixes
3実験装置および実験方法
(1) エンジンの概要
(2) 実験方法
(3) 算出方法
4実験結果
2種類のメッシュシートを使用した際の実機性能を測定した結果、以下の結果を得た。
5考察
スターリングエンジンのヒートバランスの中で、加熱系のエネルギーフロー4) をFig. 4に示す。熱入力Qinのうち加熱器で有効に使われるのは有効熱入力Qhであり、残りは排ガス損失Qcg,inと加熱系器壁損失Qleakにより失われる。しかし、加熱部をでた燃焼ガスが保有する熱量のうち、Qpreが空気予熱器によって回収され熱入力として再生される。従って、加熱部に流入する燃焼ガスが保有する熱量はQin+Qpre になる。
このような加熱システムの性能を表す指標として、バーナ効率、空気予熱器回収率およびヒータ熱交換率の3種類
の効率が次のように定義される。
Fig.4 Energy Flow in Heating Systemバーナ効率 (1)
空気予熱器回収率 (2)
ヒータ熱交換率 (3)
バーナ効率 (4)
と表される。
空気比は理論空燃比と実際の空燃比の比率で、次式により定義される。
(5)
α
5 実験結果および考察
Fig. 5 に予混合燃焼器を用いた実機運転時における空気比、αに対するηbおよび空気予熱器回収率、ηpreの関係について示す。図中のシンボルは、4分間のエンジン運転の平均値である。この図より空気比が大きいときにはηpreが従来方式のものと同等であることが分かる。従来の拡散燃焼方式の燃焼器を用いて運転する場合、空気比α=2.9においてηb =55~75 %になるのに対し、試作した予混合燃焼方式の場合はα=4~4.5において約49.5 %と低下している。この原因は、燃料と空気の混合が十分に行われずに、空気量が多い状態で予混合燃焼が行われる。そのため、適切な状態での予混合燃焼になっていないと考えられる。
そこで次に混合をより促進させるために、Fig. 6 のように、混合管の上流側に燃料の噴射場所を変更し、0.12 mmの12本のノズルで燃料噴射し、燃料を予熱された燃焼用空気と混合した状態で向芯型スワラに流入させることで、混合が促進されるようにした。その結果より得られたαに対するηbおよびηpre、ηhの関係についてFig. 7に示す。図中のシンボルは4分間のエンジン運転の平均値であり、滑らかな曲線で結んだ。改良前と比較してαが約3~4割小さくなり、α=3においてηbが最大となった。このときηb =約59.0 %を得ることができ、拡散燃焼器のα=2.9とほぼ同じαにすることができた。空気比が大きくなるにしたがい、空気流量が大きくなるため空気予熱器熱交換率が上昇しているのが分かる。また、このときの、排ガスを分析してその成分を測定した結果が、Fig. 8~10である。各排ガスは酸素濃度換算を行わず実測値である。また、図中のシンボルは2分間の平均を表し、それらを滑らかな曲線で結んだ。未燃焼ガスTHC濃度および一酸化炭素CO濃度はα=2.5から急激に減少し、CO濃度が200 ppm以下および窒素酸化物NOx濃度が100 ppm以下になる。α=3.4以上で予混合燃焼が確実に行なわれていると判断できる。
Fig. 5 ηb and ηpre with α
Fig. 6 Inproved premixing Combustor
with NS03T engine
次に、Pe,meanに対するηb、ηpreおよびηhの関係をFigure12に示す。拡散燃焼方式と比較すると、空気比が大きいために空気流量が大きくηpreは3割程度増加しているが、ηbが拡散燃焼と比較して向上していない。これは、火炎が適切な形状となっていないため、ヒーター管の温度上昇のために有効に働いていない可能性があると考えられる。この時の排出ガスはCO濃度160 ppmおよびNOx濃度60 ppmで、それぞれ従来の拡散燃焼の場合と比較して40 %、15 %に低減することができ、空気比によりそれぞれ最大で90 %、10 %程度まで低減でき、HCについては約2 ppmCまで低減することができた。
Fig. 7 ηb,ηpre,ηh, with α
Fig.8 THC withα
Fig.9 CO with α
Fig.10 NOx with α
Fig.11 ηb,ηpre,ηh, with Pe,mean
6 結 論
84年度型NS03Tスターリングエンジン空気予熱器を備えた予混合燃焼燃焼器を開発し、次のことを確認した。
(1) 排気ガス中に含まれるTHC濃度については、2 ppmC程度にすることができ、COおよびNOxそれぞれの濃度は、従来の拡散燃焼の場合と比較して約40 %、約15 %、最大で約90 %、約10 %までそれぞれ低下させることができ、予混合燃焼器を用いたスターリングエンジンの排気ガス特性が優れることを証明した。
(2) 予熱器には高性能なスカイブ型放熱板を使用することで、小型軽量化ができた。
(3) 自作の空気予熱器付予混合燃焼器により予混合火炎による実機運転をすることに成功し、拡散燃焼方式と同等のバーナ効率を得ることができた。
現在までに得られた実験結果を考慮して、以下の項目について検討を行い燃焼器の改良を行う予定である。
(1) バーナ効率の向上のため、最適な予混合燃焼が得られるような燃焼器形状に関する研究、向流式スカイブ熱交換器による空気予熱器の開発
(2) 空気予熱器の空気の流路を補修、もしくは空気予熱器を改良して空気の漏洩をなくすことで、空気予熱器入り口付近で燃料である天然ガスを混合させ、より完全な予混合気による燃焼を実現
(3) 最適燃焼を行う保炎器の改良・試作
参考文献
1) 北濱 大 他、日本機械学会第7回スターリングシンポジウム講演論文集2003 p19-22
2) 水谷 幸夫 燃焼工学入門 森北出版株式会社2003
3) Kagawa, N.: An Experimental Study of a 3-kW Stirling Engine. Journal of Propulsion and Power, 2000
4) 山下巌 他、スターリングエンジンの理論と設計、山海堂、1999